膝のお皿の下が痛い|脂肪体と太ももの前の硬さ
陸上選手の膝の前が痛むとき、原因は膝にないことがある
膝の前、お皿の下あたりが痛む。
この場合、痛みを出しているのは膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)という組織であることがあります。
そしてその脂肪体に負担をかけている大元は、太ももの前にある大腿直筋(だいたいちょっきん)の硬さ、さらにその奥にある股関節の使い方にあることが少なくありません。
膝を揉んでも変わらない場合、見るべき場所が違っている可能性があります。
大阪重症膝痛専門整体院ひなたの豊田です。
今回は、治療家向けのコンサルティングで扱った陸上部の選手の事例をご紹介します。
なお、こちらはこの選手の場合の評価であり、状態には個人差があります。
今回の事例
陸上部の選手で、痛みが出ていたのは膝蓋下脂肪体でした。
膝関節に伸展制限があり、膝が最後まで伸び切らない状態です。
そして大腿直筋が、かなり硬くなっていました。
コンサルティング先の治療家の方から「大腿直筋のストレッチの正しいやり方を教えてほしい」というご依頼をいただき、実際に動画を撮りながら指導しました。
ただ、そこでお伝えしたのは手技の細かさだけではありません。
なぜその筋肉が硬くなっているのか、という順番の話です。
膝蓋下脂肪体とはどこにあるのか
膝蓋下脂肪体は、お皿の下にあるやわらかい組織です。
膝を曲げ伸ばしするたびに、クッションのように形を変えながら動きます。
この組織には痛みを感じる神経が多く分布していることが知られています。
つまり、硬くなったり圧迫されたりすると、それ自体が痛みの出どころになり得るということです。
画像検査では「異常なし」と出やすい場所でもあります。
骨や軟骨のように、写真にはっきり写るものではないからです。
なぜ大腿直筋が硬いと、膝の前が痛むのか
大腿直筋は、太ももの前にある筋肉です。
この筋肉は少し特殊で、股関節と膝関節の両方をまたいでいます。
股関節を曲げる働きと、膝を伸ばす働きを同時に持っているということです。
そして最終的にお皿につながり、お皿の下から脛の骨へと続きます。
ですから大腿直筋が硬く縮んだ状態が続くことでその結果としてお皿の下にある脂肪体に圧迫のストレスがかかる。
当院では、この経路を評価します。
経路1:膝の伸展制限があると、大腿直筋を使いすぎる
膝が最後まで伸び切らない状態では、膝を伸ばす筋肉が常に働き続けることになります。
本来なら伸び切った位置で力を抜けるはずが、抜けない。
この状態が続けば、大腿直筋は硬くなっていきます。
そして硬くなった大腿直筋が、お皿を介して脂肪体を圧迫する。
伸展制限が入り口になっているパターンです。
経路2:腸腰筋が使えていないと、大腿直筋が代償する
こちらのほうが見落とされやすい経路です。
股関節を曲げる主役は、腸腰筋(ちょうようきん)という体の深いところにある筋肉です。
この腸腰筋がうまく働けていないと、同じく股関節を曲げる働きを持つ大腿直筋が肩代わりします。
陸上競技では、脚を前に振り出す動作が何千回と繰り返されます。
その一回一回で代償が起きていれば、大腿直筋が硬くなるのは当然です。
そして硬くなった大腿直筋が、膝のお皿を引っ張り、脂肪体を圧迫する。
痛みは膝に出ていますが、始まりは股関節にあるという構図です。
この場合、膝だけを触っても根本は変わりません。
ストレッチをどう位置づけるか
今回のご依頼は「大腿直筋のストレッチの正しいやり方」でした。
ここでお伝えしたのは、硬さを徒手でひとつずつ緩めていく方法は時間がかかる、ということです。
大腿直筋は面積の大きい筋肉です。
手で緩めるアプローチだけで対応しようとすると、施術時間の多くをそこに費やすことになります。
ですから、ストレッチをベースに組み立てたほうが効率がよい。
そのうえで、選手自身が家でも継続できる形にする。
これが現実的な進め方だとお伝えしました。
ただし、ストレッチだけで完結させないことが重要です。
代償が起きている原因、つまり腸腰筋が使えていないことや、膝の伸展制限そのものに手をつけなければ、硬さはまた戻ります。
脂肪体そのものが硬い場合
大元にアプローチするのが原則ですが、脂肪体そのものが硬くなっている場合は、そこにも直接手を入れます。
すでに痛みが出ている組織を放置したまま、原因だけを追いかけても、選手の実感としては変わりません。
順序としては、脂肪体の硬さを取りながら、同時に伸展制限と股関節の使い方を評価していく。
どちらか一方ではありません。
なお、脂肪体は敏感な組織です。
強く押す、揉むといった刺激は向きません。
この事例から見えること
膝が痛いから膝を診る。
硬い筋肉があるからそこを緩める。
どちらも間違いではありませんが、それだけでは戻ります。
なぜその筋肉が硬くならざるを得なかったのか。
今回で言えば、膝の伸展制限と、腸腰筋の使えなさです。
当院が施術と並行して関節の安定性や動きの評価を行うのは、この「なぜ」に答えるためです。
競技を続けながら改善を目指す選手の場合、負担のかかり方は毎日更新されます。
だからこそ、原因の側に手をつける意味があります。
よくある質問
膝のお皿の下が痛いのですが、何が原因ですか
膝蓋下脂肪体が関わっていることがあります。
ただし脂肪体に負担をかけている大元は別の場所にあることが多く、太ももの前の筋肉や股関節の使い方まで評価する必要があります。
お一人おひとり異なります。
画像検査で異常なしと言われましたが、痛みが続きます
画像に写るのは主に骨や軟骨の状態です。
筋肉の硬さ、関節の動きの制限、脂肪体の状態は写りにくい領域です。
異常なしという結果は、画像で捉えられる範囲に問題がなかったという意味です。
太ももの前をストレッチしていますが変わりません
硬さが生まれている理由に手がついていない可能性があります。
股関節を曲げる動作で代償が起きている場合、伸ばしても伸ばしても戻ります。
また、伸ばす方向や姿勢が合っていないと効きにくくなります。
膝が最後まで伸び切らないのですが、問題ですか
伸展制限があると、膝を伸ばす筋肉が働き続けることになります。
痛みが出ていなくても、負担が蓄積していく状態です。
評価しておく価値はあります。
競技を休まないと改善は目指せませんか
状態によります。
痛みの程度と、練習でかかる負担の内容によって判断が変わります。
まずは現在の状態を評価し、どこまでなら続けられるかを一緒に整理します。
成長期の選手でも相談できますか
ご相談いただいています。
ただし成長期特有の状態が疑われる場合は、まず整形外科での確認をおすすめしています。
画像検査でしか判断できないものがあるためです。
治療家向けの指導も行っていますか
全国の治療家の方へ技術指導を行っています。
今回の事例も、コンサルティングの場で実際に扱ったものです。
まずは一度、ご相談ください
膝の前が痛くて競技に集中できない。
ストレッチをしても戻ってしまう。
異常なしと言われたが痛みが続く。
そうした膝のお悩みに向き合ってきました。
まずは一度、ご相談ください。
執筆者
大阪重症膝痛専門整体院ひなた 代表の豊田啓太です。
重症膝痛専門施術のパイオニアとして、「最後の砦」を掲げています。
どこに行っても、何を試しても注射や再生医療、手術、さまざまな治療を受けてもなかなか改善しなかった重症の膝の悩みに向き合ってきました。
改善に向けた実績は、全国でもトップクラスだと自負しています。
実際の変化は、YouTubeの改善実績動画、お客様の口コミ、Instagramの症例動画でご覧ください。
対応エリア
当院は大阪府大阪市天王寺区寺田町にありますが、大阪府内はもちろん、関西全域、そして全国からご来院いただいています。
奈良・京都・兵庫など近隣府県のほか、遠方からお越しになる方も少なくありません。




